2017年11月20日

平成29年度 第1回ブランド化企画部会を開催しました


当協議会で平成28年度から取り組んできた内容を踏まえ、柿をはじめとした福岡県産農産物の活用や今後の普及活動を検討するため、福岡県・福岡市・JA全農ふくれん・食に携わる企業のみなさまにお集まりいただき、ブランド化企画部会を開催しました。

 

ブランド化企画部会

 

協議会事務局より、これまでの取り組みの普及・展開の中で、明らかとなった課題3点を報告しました。

 

  • 柿の皮むきや種の除去など下処理がしにくいという問題
  • 柿をカット野菜のようにした加工しやすい技術開発の必要性
  • 旬の時期以外でも利用できる加工品の生産・流通ルートの開拓

 

これらの課題解決に向け、当協議会では3つの取り組みを進めています。

 

①柿チップ
従来JAにじで販売されている「柿チップ」は、規格外品となった柿から大きくて形良くスライスできたもののみを乾燥させて商品化しており、形が揃わない端の部分は捨てられていることが分かりました。
料理に使用するには、むしろ小さくカットされたものの方が利用しやすいこともあり、これまで廃棄されていた端材分も今年度は商品化を試みます。
既に、うきは市の学校給食で使用されることが決定しています。

 

②カット柿
皮むき・種の除去・カットなどの下処理をした「カット柿」の販売を加工業者と協議中です。
食品衛生面や保存方法については確認済みで、一般消費者向けというより、業務用として3次産業用としてのカット柿を普及させたいと考えています。

 

③柿ピューレや柿ソースなど
学校給食では、食育の観点から“柿”と分かる色のピューレの需要があることが分かりました。
大量生産・価格面がクリアできれば、販売ルートがさらに広がる可能性があります。
また、砂糖やカラメルといった甘味成分の代替としてうきは市産の「完熟柿」の規格外品を利用したソースのリニューアルも進めています。

 

協議会事務局から行われた報告を踏まえ、議論・意見交換が行われました。

 

第1回ブランド化企画部会

 

■柿の出荷・販売の現状

  • 柿集荷場では多くのロスが発生しているのを目の当たりにする。
  • 加工品はまだごく一部しか開発されていない状況である。また、今後はJA全農ふくれんの「柿のブランド化委員会」ともタイアップして柿の活用に取り組んでいきたいと考えている。
  • 過去に関連会社にて、カット柿を真空包装して販売したことがあったが、真空包装にコストがかかり、どうしても高値となるため、高級店での取引しかできず、普及に至らなかった経験がある。

 

■柿の品種・販売戦略について

  • 福岡県では種なし柿「秋王」を開発しており、従来の柿よりも大きく四角い形をした品種を開発した。糖度が高く、サクサクした食感である。種がないので、食べやすく生食としてもいい商品である。生産は徐々に増やしており、福岡県のオリジナル品種ということで販売は今年で3年目となる。
  • 柿全体のプライスリーダーとして「秋王」、それに続いて他の品種が追随するような戦略を推進している。
  • 柿の場合は2週間程の単位で旬の品種が変わっていくため、特定の品種だけをブランド化していくことがなかなか難しい。様々なバリエーションのある福岡柿を全体として普及に努めたい。

 

■食育の観点から

  • 給食の導入にあたってのヒアリングによると、子供の果物離れが進んでいる。柿に限ると、柔らかくぬるぬるしたものより、サクサクした品種(太秋や秋王)などが好まれているとのこと。
  • 福岡県では、小中学校の調理実習(柿の皮むき体験等)として、希望する学校に無償で柿を提供している。昨年度は360校(福岡県全体で の約3割)に導入した。
  • 柿むき体験の際「初めて柿を食べた」という子供が1割もいる。家庭で柿を食べない、親も食べさせていないということが、このことからも明らかになった。
  • 今年度はうきは市の全小・中学校で柿メニューを給食に導入し、アンケートを実施する予定である。

 

第1回ブランド化企画部会

 

■食材としての柿

  • 協議会事務局が給食の現場や中食・外食向けに行ったヒアリングでは、「食材として」のカット柿を販売してほしいという要望が多かった。業務用として直接調理場に持ち込めるようになれば、 3次産業は利用しやすいし、その普及や消費も変わってくるのではないかと思う。
  • 総菜の原材料としては、一般的に売られているものの価格では適さないし、見た目のきれいさは必要ない。現在は、独自のルートでB級品以下の食材を仕入れており、問屋や農業法人様、自社の農業分野からの仕入れなど、季節ごとに相場をみながら取引をしている。
  • ストーリーのある商品であり、開発の背景や意味合いが伝われば付加価値商品となって、お客様に買っていただける。
  • 福岡県には一次加工をする産地がほとんどない。もっと生産地で様々な一次加工までできれば、色々なところに売ることができるし、大量のオーダーが見込め、販路が広がる。
  • あるコンビニエンスストアでは「季節のカットフルーツ」でデザートを展開している。例えば、九州エリアだけ地産地消という観点で導入してくれるコンビニエンスストア企業があれば、一気に普及するのではないだろうか。
  • 柿のピューレでの提供が通年でできれば、ソース、ポタージュ、ドレッシングなど、調理の現場で非常に使いやすいものになるのではないか。
  • 原料として使う側からすると、柿は果汁等にするとその果物らしさが失われてしまう傾向にあり、加工食品として使いにくい食材でもある。
  • 柿の綺麗なオレンジ色は人参以外で出せるものではないと考えており、この色にも着目したい。ドレッシングになれば綺麗な色のサラダになる。また、温州ミカンで有名なβクリプトキサンチンという機能性成分が柿にも含まれており、この成分がオレンジ色を出しているのではないかとも言われている。

 

■ブランド化の方向性

協議会事務局より、来年度は強力なキャンペーン活動を行う予定であることが伝えられました。
今年度は各企業・団体の協力のもと、それぞれに販売促進等を行っていますが、来年度は横串を刺した形でのキャンペーンを構想中です。
そのためにも、統一したイメージや方向性をこのブランド化企画部会で明文化していき、ブランド戦略を練るための意見を求めました。

 

  • 「最終商品が何か」を考えることが肝である。例えばスムージーやコールドプレスジュースにしてはどうか?朝食を摂る時間が限られる中、スムージーは健康的でイメージが良く、さらに柿の機能性に加えて地産地消の意味も付加できれば、需要はあるのではないか。1社でもコンビニで販売できれば、爆発的な消費になるし、冷凍できればアメリカにも輸出が可能である。
  • 柿のイメージは「おばあちゃん」「茅葺屋根の下」と いったイメージを持たれ、若い人への良いイメージが出来ていない状況である。
  • 積極的な動きをする生産者や販売者は、共通のブランドマークをつくることが多い。本協議会も共通認識・ストーリーの共有という意味でもブラ ンドマークを作ってもいいのではないか。
  • 柿は主役というより2番3番という可愛らしさというか、リアリティのある、擬人的な雰囲気で、控えめだけどそこに存在しているといったイメージがある。影の引き立て役、実はいい味出しているといったことだろうか。

 

今回の話をもとに、次年度に向けた普及の方法について、今年度中に再度ブランド化企画部会を開催したいと考えています。

 

第1回ブランド化企画部会

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