2016年8月18日

食品・メニュー開発に向けて企業を招き企画部会を開催しました


食品・メニュー開発企画部会は、「メタボリックシンドローム」という福岡県の地域課題を解決するため、調理・加工による機能性成分の含有量変化や他の栄養素との関係などを考慮しながら、農作物の機能性成分を活かした食品やメニューの開発を行っていきます。
今回は第1回ということで、地域農産物に含まれる機能性成分を特定しながら、どのように食品・メニューのレシピを開発していくかについて検討がなされました。

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本事業では機能性成分のある農作物(柿・大豆・トマト・三番茶のいずれか)を活用し、
メタボリックシンドロームに寄与するメニュー開発を進めていきます。
今回の企画部会では、栄養科学の専門家として中村学園大学栄養科学部の教授陣と惣菜メーカーである株式会社クックチャムプラスシーからレシピ開発の専門家を招聘し議論を行いました。

●地域農産物に含まれる機能性成分について
私たちがターゲットとした農産物には以下のような機能性成分が含まれています。

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  1. 柿(富有柿)
    含有機能性成分:ポリフェノール(カキタンニン)、カロテノイド、ビタミンC、マンガン
    生理作用:脂肪分解
    効果:メタボリックシンドローム予防
  2. 大豆
    含有機能性成分:β-コングシニン
    生理作用:内臓脂肪削減
    効果:内臓脂肪関連疾患抑制
  3. とまと(博多トマト)
    含有機能性成分:オスモチン、リコピン
    生理作用:アディポネクチン受容体活性
    効果:メタボリックシンドローム予防
  4. 八女茶(三番茶)
    含有機能性成分:カテキン類(特にEGCG)
    生理作用:コレステロール吸収阻害
    効果:メタボリックシンドローム予防

この中でも、福岡県を代表する地域農産物である柿は、年間22,400tで全国第3位の生産量を誇ります。
中でも富有柿は年間16,000tを生産し、福岡県が全国1位の生産量です。
しかしながら、富有柿は年間6,000tが廃棄されるという消費課題も存在しており、協議会として廃棄される富有柿の機能性成分に着目したレシピ開発を進め、柿の消費量を増やしていくことは大きな意義があります。


 

農水省補助事業においては、消費課題や含有する機能性成分の検討を踏まえた結果、
①富有柿(カキタンニン)及び②八女茶(カテキン)を活用した商品・メニュー開発を進めるものとする。


①富有柿(柿の葉を含む)
[消費課題]
☑ 柿の生産量は年間22,400t(全国第3位)
☑ 中でも富有柿は年間16,000tを生産し、福岡県が全国1位
☑ しかしながら、富有柿は年間6,000tが廃棄されるという消費課題も存在
☑ 圧倒的に二次加工品が少ないという現状

[機能性成分]
エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキン-3-ガレート、エピガロカテキン-3-ガレートの4つの単量体のポリフェノールを構成要素とするカキタンニンが含まれており、脂肪分解作用によるメタボリックシンドロームの解消に寄与するとされる

 


②八女茶(三番茶)
[消費課題]
☑ 福岡県の茶栽培面積は1,560ha、2,106t生産(全国第6位)
☑ そのうちの約90%は八女地域で栽培されている
☑ 低価格・生産コスト増大の理由で三番茶の多くが廃棄されている現状
☑ 飲料以外の消費・二次加工品が少ない

[機能性成分]
➡カテキン類の1つであるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、肥満抑制作用(コレステロール吸収抑制作用)を有しておりメタボリックシンドロームの解消に寄与するとされる
➡八女茶の三番茶には、一番茶に比べてEGCGが特に豊富に含まれている。

 

③その他

クロダマル(黒大豆)
[機能性成分]
β-コングリシニン(内臓脂肪削減作用)の他、アントシアニンといったポリフェノール類が豊富

トマト
[機能性成分]
アディポネクチン受容体を活性化するオスモチンの他、強力な抗酸化作用を持つリコペンが豊富

 

➡柿に含有するポリフェノールやカロテノイド類は生の状態で喫食しても吸収されにくいという特性を持つため、酢と合わせることでポリフェノールを腸壁から吸収されやすくしたり、油と合わせることでカロテノイドの吸収量を増やすといった栄養科学的見地からのメニュー開発が必須となる

➡柿は上記の機能性成分と合わせて、多量の糖質(高エネルギー)を含み、生での喫食は逆にメタボを引き起こす原因ともなるため、大豆やトマトを含め、機能性成分を活かした新たな食品・メニュー加工、開発が必要となる。

 



●食材機能性から食事機能性へのシフト(食習慣への落とし込みを図る)
どんなに食材そのものに有効な機能性成分が含まれていたとしても、毎日摂取しなければ十分な効果を得ることはできません。
そうした意味では、「食材機能性」から「食事機能性」へのシフト、すなわち食習慣への落とし込みを図っていくようなレシピ開発を進めることが重要になります。
そこで私たちは習慣化を促すレシピ・商品を開発するため、以下の内容でレシピのたたき台を作成することとしました。

  • 日本の伝統的な献立である「一汁三菜」
    ➡バランスよく栄養を摂取でき、毎日の食事に取り入れやすい
  • 1週間7食分、一食あたり約600~700kcal
    ➡メタボリックシンドロームの多い中年期の男性向け、昼食を想定
  • 調味料と食材の双方向から見直す
    ➡食材・調味料工夫することで、油分や糖分、塩分などの摂取過多を配慮

 

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会議では柿の加工食品(柿酢・柿シロップ・柿ペースト・柿茶など)どのように活用するか、
意見を交えながら試食も行いました。
商品化に向けて、まずは9月末までにレシピのたたき台を完成させる予定です。

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