2016年12月16日

第2回健康増進プログラム企画部会を開催しました


農林水産省「機能性農産物等の食による健康都市づくり支援事業」に係わる第2回健康増進プログラム企画部会を開催しました。
参画企業・団体から、各領域において特に専門的知見を有する方々を委員として招聘し、事業の中間報告を行うとともに、議論を行いました。

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1:健康増進プログラムの設定について

本事業の3か年の行動計画である「健康増進プログラム」について、議論を行いました。
前回までの企画部会において、「地域課題を解決する農林水産物活用の方向性」や「生産・製造・ブランド化を含めたロードマップ」については概ね了承を頂きましたが、継続協議課題であった「補助事業終了後における市場規模等の定量的目標の設定」について議論を行いました。

【定量的目標の設定】
「平成30年までに機能性農作物等を活用した商品・メニューの市場規模52億円を目指す」ことを目標にし、引き続き継続協議を行う運びとなりました。

農業産出額(一次産業)・食品製造出荷額(二次産業)・売上高(三次産業)3つを足して算出し、協議会全体で52億円の市場規模を目指す。

①農業産出額:
平成25年度 福岡県における柿の産出額は49億円。廃棄量26.7%(廃棄量6,000t)を改善。廃棄される柿を活用し、平成30年度に1t以上消費量を増やす。(平成30年段階では、1t程度の活用なので産出額は維持)

②食品製造出荷額:
協議会加盟企業の外部調達原価5億円のうち20%を地域の機能性農作物が活用されたものへと切り替えていく。

③売上高:
協議会加盟企業の売上高18億円(2014年度)のうち10%の商品を地域の機能性農作物が活用された商品へと切り替えていく。

 

2:農作物に含まれる機能性について

本協議会がターゲットとする農作物に含まれる機能性成分について、分析結果や調査結果を報告しました。

【柿】

柿に含まれるカキタンニンは消化管内で糖質の消化と吸収を抑制する効果があるとされる「メタボ予防効果」や消化管内で糖質の消化と吸収を抑制する「血糖値抑制効果」があり、血糖値に有意に低値を示すことが報告されていることなどを報告しました。
また、酸化ストレスの緩和や、柿の実だけではなく、柿の葉には抗アレルギー効果があるアストラガリンが含まれていることを報告しました。

【八女茶】

協議会がターゲットとする八女茶は、市場に出回っている所謂「一番茶」ではなく、価格が安く廃棄量も多いとされる「三番茶」です。
この三番茶は、一番茶と比較してカテキン(とりわけEGCg)の含有率が高いことがわかりました。
EGCgはメタボリックシンドロームの緩和に最も高い効果を発揮することが報告されています。
こうした三番茶の機能性にもかかわらず、一番茶と比較して三番茶は価格が8分の1程度となっており、機能性の付加価値が価格に反映されていないという問題点も明らかになったところです。

 

3:食品・メニュー開発について

農作物に含まれる機能性成分の分析結果や調査結果に基づき進めている新たなメニュー開発について現状を報告しました。

・日々の習慣に落とし込むべく、食材機能性から食事機能性を目指す
・日本の代表的な献立である一汁三菜(主菜・副菜・副々菜・主食・汁物)に機能性農作物を取り入れる
・現在、機能性農作物を活用した8種の一汁三菜メニューが完成
→一汁三菜メニューをもとに、株式会社クックチャムにて一汁三菜形式の惣菜を3月以降販売開始予定

4:実証効果検証

協議会では、新たに開発したメニューがメタボリックシンドロームに効果を有するかどうかについて1月よりヒト試験を行う予定です。
このヒト試験についての計画を報告しました。

・機能性農作物を活用した商品やメニューが人体に及ぼす効果効能について、実証実験を開始
・一汁三菜メニューを弁当にし、喫食実験を行う
・対象者は正興電機製作所・唐人町商店街の30名に協力を依頼
・3週間(土日を除く15日間)昼食に一汁三菜弁当を喫食
・喫食実験前後に血液・MRI・エコー・身体測定を行い、効果効能を確かめる

5:ブランド化

・今後、開発メニューを唐人町商店街中心に、福岡における「新たな郷土料理」として根付かせるべく、サポーター店認定制度などの取組を加速させる。
→社食・給食事業で展開するにあたり、アプリとの連動で「メタボリックシンドローム緩和状況の見える化」を行うことで、健康ブランド化の取り組みを加速させる。

各委員からは以下のような意見が出されました。

  • マーケット目線が必要。ニーズを考えたほうが良いのではないか。
  • 柿の消費が伸びにくいのは、皮をむく手間などが考えられる。メニュー開発では、手軽さという視点が必要ではないだろうか。
  • 柿の葉はいつ収穫するかで栄養成分が異なるので十分検討すべき。
  • 高齢者に向けてのメニュー開発も視野に入れてみてはどうか。
  • ストレスがメタボリックシンドロームにはなりやすいというデータがある為、
    柿の機能性である酸化ストレスへの緩和を実験の測定項目に追加してはどうだろうか?
  • 酸化ストレスは尿検査の測定キットがある。8-ハイドロキシーデオキシグアノシンの測定を検討してみてはどうか。
  • 生産者は食べ合わせなどに詳しいため、調査してみると面白いかもしれない。
  • 県産の機能性のある食材を利用した食事を採ることが健康につながるということで、実証に期待している。

また今後、家庭菜園SNSサイトのアンケートシステムを通じて、機能性農作物(柿)の意識調査や周知を進めていく予定です。
アンケートの設問項目に対する意見も委員より出されました。

  • サイトユーザー属性が一般消費者と近いのかどうか。
  • 農業・家庭菜園等に興味がある方が多いと想定するが、興味のある詳しい方の知識レベルと一般消費者を同一と捕らえてよいのか。
  • ある程度アンケート対象エリアもセグメントした形での検討ができるのでは?

様々な意見を参考に、商品・メニューの開発・ブランディングを進めます。
また、年明けから開始する実証実験経過など今年度の事業最終報告を3月に開催する健康増進プログラム企画部会にて行う予定です。

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