2017年7月26日

柿の機能性成分に着目した実証効果試験を計画


福岡食育健康都市づくり地域協議会では、平成29年度は「柿」の機能性成分(カキタンニン)に着目し、メタボリックシンドローム緩和の実証効果試験を計画しています。

介入試験・臨床実験・栄養学に知見のある中村学園大学栄養科学部教授と、食品化学・食品加工学・食品機能学専門の同学部教授、柿研究の第一人者である近畿大学農学部教授を招聘し、実証効果検証企画部会を開催し、意見交換を行いました。

 

実証効果検証企画部会
 

■カキタンニンについて

  • 柿は、完全甘柿・不完全甘柿・不完全渋柿・完全渋柿の4種に大別されるが、カキタンニンの含有量・構造・糖質分解酵素に対する阻害活性、抗酸化活性などは知見を整理しているところである。
  • 完全甘柿はカキタンニンの含有量が少ないが、糖質分解酵素の阻害活性は、カテキン重量あたりにすると他の種類とそれほど違わない。また、抗酸化活性もカテキンあたりにすると大きな差異はない為、生理活性はそれほど変わらない可能性がある。

 

■カキタンニンの安全性について

  • 柿100gあたり2〜3%タンニンが含まれている。大きな柿であると、1個につき5g程度。柿は平安時代から食の歴史があり、安全性に問題はないと考えられる。
  • 不溶性ポリフェノールのラットへの長期投与で生理活性に効果は出なかった。
  • 不溶化したカキタンニンは排出されると考えられるので、脂肪を結びつけて排出することが考えられる。
  • カキタンニンの分子量は30〜40万程度。分子量が大きければ体内で吸収されないため毒性も吸収されないと考えられるが、腸の表面に炎症反応を起こさないか懸念がある。

 

■カキタンニンの特定について

  • 奈良県農業総合研究センターが、奈良式タンニンの抽出方法を持っている。タンニン細胞(液胞)のみを遠心分離で集めると、約70%の純度のポリフェノールが手に入る。
  • 成熟過程でのタンニン量は研究中だが、タンニンは未熟果の段階で作られて、その後増えないと予測している。ミカンは未熟果では20%程度ポリフェノールを含有し、その後、絶対量が変わらないことがわかっている。

 

■実験食について

  • 柿の実そのものには糖質が多いため、メタボリックシンドローム緩和に関する実験には向かない。
  • カキタンニン自体の味は苦いが、味の強いものと合わせるとわからなくなる。
  • カキタンニンは亜臨界状態で圧力をかけて200℃で分解する。通常の調理の熱であれば壊れない。
  • メタボリックシンドローム緩和に関する実験なので、クッキーなどは合わない。プラセボはエネルギーを合わせて比較する必要がある。

 

以上の意見を踏まえ、今年度中の実施を目指して実験内容を策定します。

 

実証効果検証企画部会

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