第2回の食品・メニュー開発企画部会を開催しました。
食品・メニュー企画部会では、福岡県の地域課題である「メタボリックシンドローム」を食事機能性で解決することを目的に、機能性農作物を使ったレシピ開発を行っていきます。
私たちはターゲットに、県産品の柿・大豆・トマト・八女茶(三番茶)の機能性成分を活用してメニューの開発を行い、課題解決に取り組みます。
第1回に引き続き、栄養科学の専門家として中村学園大学栄養科学部の教授陣、惣菜メーカーでありレシピ開発の知見を有する株式会社クック・チャムプラスシーから専門家を招聘しました。
(第1回食品・メニュー開発企画部会の内容:http://fukuoka-syokuiku.net/menu/293)
今回は、レシピ開発に使用する食品の成分分析結果をもとに、議論を行いました。
成分分析を行った食品は、私たちがターゲットとした農産物の一部である柿・トマトの加工品です。
レシピに使いやすいよう、素材そのもの無添加のまま加工したものを選出しました。
分析をしたものは以下の通りです。
◆分析した農産物(加工食材)
【柿】
柿ピューレ、柿酢、柿シロップ、柿の葉
<検査した機能性成分とその生理作用>
◇ポリフェノール
⇒脂肪分解作用、抗酸化作用
◇タンニン
⇒脂肪分解作用
◇ビタミンC
⇒抗酸化作用
◇カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート
⇒脂肪分解作用
◇アストラガリン(柿の葉茶のみ)
⇒抗アレルギー作用
【トマト】
トマトピューレ
<検査した機能性成分とメタボリックシンドロームに寄与する作用>
◇リコピン
⇒アディポネクチン受容体活性
以下が分析結果です。
【成分分析結果】
以上の結果から、上記加工食材にも私たちが主たるターゲットとするポリフェノールやタンニンといった機能性成分が豊富に含有されているということが明らかになりました。
しかしながら、毎日摂取しなければ十分な効果は得られず、ましてや食材単品のみで摂取するのは、非常に困難です。やはり、食材機能性から食事機能性へシフトしたメニュー開発が重要となることを改めて確認できました。
習慣化を促すためにも、バランスよく栄養を摂取でき、普段の食生活に取り入れやすい「一汁三菜」の献立スタイルが最適です。
一汁三菜メニューとは、
・主食(ごはん)
・汁
・おかず三種(主菜、副菜、副々菜)
からなる和食の基本形式です。
この形式は室町時代に確立された、ごはん・汁・副食3品と香物からなる「五器盛り」が基本となっており、日本の代表的な献立で「本膳」とも呼ばれています。
主食は米を中心とした炭水化物。主菜には肉・魚類・大豆食品を中心としたタンパク質。
副菜・副副菜・汁物では野菜、きのこ、豆類、海藻類などで、ビタミンとミネラル、微量栄養素、食物繊維などをバランス良く摂取するができます。
また、今回のメニュー開発ではメタボリックシンドローム罹患者の多い中年期の男性の昼食を
想定しており、一食あたり約600~700kcalを目安に開発します。
(中年男性の推定エネルギー必要量2100~2300kcalの約1/3の熱量)
また、意見交換の中では、
レシピ開発後の調理の際、農産物のカット・冷凍技術についても意見交換を行いました。
☑農産物のカット・冷凍技術が主流であり、今回のレシピ開発にも利用できないか?
⇒加熱処理にもそのまま使え、保存が効くため年中流通可能
⇒実際に惣菜メーカーである株式会社クックチャムでもカット野菜を多く使用している
⇒今後、技術を活用して海外への展開も見込める
☑冷凍にすることで食感などに変化が生まれるか?
⇒調理して使うものであれば、食感に変化があっても活用の可能性がある
私たちがターゲットにした機能性農作物がカット・冷凍技術の実用にふさわしいか調査し、
今後、農作物の消費課題や流通に貢献する提案を本協議会から発信していきます。