2017年3月16日

成果報告会を開催しました


農林水産省「食による健康都市づくり支援事業」の平成28年度の成果報告会として第3回健康増進プログラム企画部会を開催。参画企業・団体から、各領域において専門的知見を有する方々を委員として招聘し、今年度事業の成果報告を行いました。

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今年度の取組成果
【1】食育健康増進プログラム策定
1:地域課題の特定
→福岡県は男性肥満率が3割を超えており、肥満が脳梗塞死亡・心筋梗塞脂肪に繋がることが特定されていてる。

2:地域課題を解決する農林水産物活用の方向性
→2つの視点から地域の機能性農作物である柿・黒大豆・三番茶・トマトの活用を決定。
廃材食材の積極活用
 福岡県柿の生産量は年間22,400t(全国第3位)だが中でも富有柿は年間6000tが廃棄されている。また、八女茶は一番茶の流通は盛んだが、三番茶は栄養価が高いにも関わらず安価な為廃棄量が多い。

食材機能性から食事機能性へのシフト
 単一の食材を喫食することは不可能。日々の食習慣に落とし込み、日常的に消費されるような仕組みづくりを行う。

3:生産・製造・ブランド化を含めたロードマップ
→生産(一次産業)・加工(二次産業)・販売(三次産業)において、見えていなかった課題が明らかになった。
☑柿の出荷率は91%であるが、集荷に上ってこない未利用柿が非常に多い。
☑柿は通年利用ができず、旬の時期を過ぎると3~4倍に価格が跳ね上がる。
☑三次産業においては柿の調達時期と調達価格の問題解決が必須。
☑保管技術(冷蔵・冷凍・解凍・パッケージ)・加工技術(水溶性ペクチン粘性の対処・皮むき等の下処理・カキタンニンの抽出方法の確立)の向上が二次産業において求められる。

4:消費状況やイメージ調査のアンケート調査実施
柿の消費状況やイメージ調査を実施(有効回答:500件)
☑柿は健康に良いというイメージが全体の6割以上を占めるが、旬の時期でも、全体の4割が柿を食べないということがアンケート調査によって明らかになった。
☑柿の機能性に関する論文からエビデンスの収集を行ったところ、多様な効果効果があるが、消費者は具体的な内容についての認識がほぼないことが判明。
☑普段柿をほとんど食べないが、効果効能がある柿製品・料理があれば購入したいと105人が回答。
☑柿に対する具体的な健康イメージを醸成し、柿を使ったレシピを一般化することでほとんど食べないといった層を獲得できる可能性があると判明。

5:定量的目標の策定
3年後に機能性農作物を活用した商品メニューの市場規模52億円を目指す

 

【2】メニュー開発・商品化

☑食事機能性に特化し日々の料理に落とし込みやすいメニュー開発をすすめてきた。
☑機能性成分は来年度も引き続き検証を行う予定。
☑メニュー開発では、中村学園の大部教授・三堂教授を中心とした教員4名が柿・黒大豆・三番茶・トマトを活用した一汁三菜レシピを考案。(「食品・メニュー開発に向けて試食を行いました」記事参照)
☑惣菜販売会社である株式会社クックチャムに協力いただき、九州・山口の直営店全28店舗にて4日間販売。(「開発メニューの販売が決定しました」記事参照)
☑協議会内の動きとしては、うきは市と一番食品株式会社が連携し四方竹を使用した「うきはんやまごはん」を販売。道の駅等で販売開始。

 

【3】実証実験の実施

☑2年目に行う予定の実証実験を前倒し実施した。
☑開発した一汁三菜メニューを弁当にし、被験者30名に平日の昼食のみ3週間喫食。
☑被験者は正興電機株式会社と中村学園より選出。
☑喫食実験前後に採血・尿検査・エコー・MRI検査を行い、検証を行った。
☑現在、検査結果の分析中であり、3月中には結果が判明。結果に関しては後日報告する。

 

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各委員からは以下のような意見及び感想が出されました。

・機能性農作物をサプリメント等ではなく、毎日の食事に落とし込むという観点が非常に良い。

・協議会に参加するようになって、自社で使用している黒大豆を福岡県筑前町産クロダマルを使用した黒豆の商品開発に取り組んだ。地産地消に貢献していこうと思っている。

・機能性に偏らず美味しいかどうかという点にも比重を置いて消費に繋げるべき。新たな調理法などで驚きを与え消費に繋げるといいのではないか。

・実証実験も実施したということであれば、興味を持つ消費者も多いのではないだろうか。2年目3年目もぜひ協力できればと思う。

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今年度の成果を踏まえ、平成29年度は以下の内容を計画しています。

☑商品開発と地域への普及
☑習慣化を促すプログラム化の取組
☑地域商店街の取組
☑エビデンスの整理
☑カキタンニンの抽出

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